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小児口腔機能発達不全症とは?歯科医院がわかりやすく解説
歯は生えているけれど、「うまく噛めていない気がする」「食べるのが遅い」「口がいつも開いている」「発音が少し気になる」
こんなお子様の様子に、ご家庭で気づいたことはありませんか?
近年、歯並びや虫歯といった見た目の問題だけでなく、噛む・飲み込む・話す・呼吸するといった“お口の機能”そのものが、うまく育っていないお子様が増えています。その状態を表す言葉が小児口腔機能発達不全症です。
小児口腔機能発達不全症は、近年国(厚生労働省)も注目している取り組みの一つです。
お子様の「食べる・話す・呼吸する力」の低下が社会的な課題となる中で、歯が悪くなってから治すのではなく、成長段階からお口の機能を育てていく予防的な歯科医療が重要視されるようになりました。その流れの中で、小児口腔機能発達不全症は保険診療の対象にもなっており、国全体としてお子様の健やかな成長を支えようとする考え方が広がっています。
当院では歯科診療だけでなく、保育園の運営・連携も行っており、日常生活の中でのお子様の食べ方や姿勢、口の使い方を間近で見てきました。その経験からも、幼少期のお口の発育が、将来の歯並びだけでなく、全身の健康にまで大きく関わっていることを実感しています。
このページでは、小児口腔機能発達不全症について、専門用語はできるだけ使わず、保護者の方にわかりやすい言葉で、FAQ形式にて詳しく解説します。
幼少期から大人までの骨格と顎の成長について
成長期の骨格と顎はどのように変化するのですか?
人の体は、生まれてから大人になるまで、段階的に骨格が成長していきます。特に**顎の骨(あご)**は、幼少期から思春期にかけて大きく成長し、その後は成長がほとんど止まります。
乳幼児期は、噛む・飲み込む・話すといった動作を通じて、顎や顔の骨が少しずつ刺激を受け、正しい形へと育っていきます。この時期にしっかり噛む経験や、正しい呼吸・舌の使い方ができているかどうかが、その後の成長に大きく影響します。
学童期から思春期にかけては、身長が伸びるのと同時に顎も前後・左右に成長します。しかし、この時期になってからでは、すでに身についてしまった癖(口呼吸、舌の位置、噛み方など)を大きく変えるのが難しくなることもあります。
大人になると、顎の骨の成長はほぼ止まるため、骨格そのものを変える治療は難しくなります。そのため、歯並びだけを整える治療が中心になり、負担が大きくなるケースも少なくありません。
なぜ幼少期からのアプローチが大切なのですか?
Q. 小さいうちから対策するメリットは?
幼少期は、顎や顔の骨がやわらかく、成長の力を味方につけられるゴールデンタイムです。この時期に正しいお口の使い方を身につけることで、自然な成長を促すことができます。
幼少期からアプローチすることで、
- ・顎が本来の大きさ・形に育ちやすい
- ・歯が並ぶスペースを確保しやすい
- ・口呼吸から鼻呼吸へ導きやすい
- ・舌や唇の正しい動きが身につきやすい
- ・将来の本格的な矯正治療を避けられる、または軽減できる可能性
といった多くのメリットがあります。
当院では、保育園での生活や日常の様子も踏まえながら、無理のない形での早期アプローチを大切にしています。
小児口腔機能発達不全症とは何ですか?
Q1. 小児口腔機能発達不全症とはどんな状態ですか?
小児口腔機能発達不全症とは、18歳未満のお子さんにおいて、本来年齢とともに身につくはずの
- ・噛む
- ・飲み込む
- ・話す
- ・呼吸する
といったお口の機能が、十分に発達していない状態を指します。
見た目には歯並びが大きく乱れていない場合でも、食べ方や口の使い方、姿勢などに小さなサインが現れることが多く、気づかれにくいのが特徴です。
なぜ小児口腔機能発達不全症が増えているのですか?
Q2. 最近この症状が増えている理由は何ですか?
増加の背景には、現代の生活環境の変化があります。
- ・柔らかい食事が中心で、噛む回数が少ない
- ・早食いや「丸飲み」の習慣
- ・スマートフォンやタブレット使用による姿勢の乱れ
- ・外遊びの減少による全身運動不足
- ・口呼吸が習慣化している
- ・指しゃぶり・おしゃぶりが長期間続いている
これらが重なることで、口の周りや舌の筋肉が十分に使われず、正しいお口の使い方が身につきにくくなっています。
どんな症状やサインがありますか?
Q3. 保育園や家庭で気づきやすいポイントは?
保育園やご家庭で、次のような様子が見られる場合は注意が必要です。
- ・食事に時間がかかる
- ・クチャクチャと音を立てて食べる
- ・食べ物をよくこぼす
- ・噛まずに飲み込もうとする
- ・口がぽかんと開いていることが多い
- ・鼻ではなく口で息をしている
- ・発音がはっきりしない
- ・いびきをかく
- ・姿勢が悪く、猫背になりやすい
当院が運営・連携している保育園でも、こうしたサインが見られるお子さんは珍しくありません。日常生活の中での「ちょっとした違和感」が、早期発見につながります。
顎の成長と歯並び・虫歯・将来の治療費の関係
顎の成長が正しくないと、どんな影響がありますか?
顎の成長が十分でなかったり、バランスよく育たなかったりすると、歯がきれいに並ぶためのスペースが不足しやすくなります。その結果、
- ・歯が重なって生える
- ・ガタガタした歯並びになる
- ・噛み合わせがずれる
といった状態が起こりやすくなります。
歯並びが悪くなると、歯ブラシが届きにくい場所が増え、磨き残しが多くなります。これが、虫歯や歯ぐきの炎症につながります。
虫歯治療を繰り返すとどうなりますか?
虫歯ができるたびに治療を行うと、歯は少しずつ削られていきます。一度削った歯は元には戻らないため、
- ・詰め物や被せ物が必要になる
- ・将来的に神経の治療が必要になる
- ・大人になってから大きな治療につながる
といった可能性が高まります。
さらに、顎の成長不足が原因で歯並びが大きく乱れている場合、成人後に本格的な矯正治療や外科的な治療が必要になるケースもあります。これらは治療期間が長く、費用の負担が大きくなることも少なくありません。
このように、
顎の成長の乱れ → 歯並びの悪化 → 虫歯リスクの上昇 → 治療の繰り返し → 将来的に高額な治療が必要になる可能性
という流れが生じることがあります。
だからこそ、顎が成長途中にある幼少期からのアプローチがとても重要なのです。
歯並びや虫歯との関係はありますか?
Q4. 歯並びや虫歯にも影響しますか?
はい、深く関係しています。
お口の周りの筋肉や舌の動きのバランスが崩れると、歯にかかる力が不自然になり、歯並びが乱れやすくなります。また、口呼吸が続くと口の中が乾燥し、虫歯や歯肉炎のリスクも高まります。
つまり、小児口腔機能発達不全症は、歯並びや虫歯の「結果」ではなく、原因となる土台の問題と考えることができます。
幼少期の顎の発育はなぜ大切なのですか?
Q5. 顎の成長が将来の健康に関係するのはなぜ?
顎は、食べる・話す・呼吸するといった生命活動の中心となる大切な部分です。幼少期に顎が正しく発育することで、
- ・歯がきれいに並ぶスペースが確保される
- ・鼻呼吸がしやすくなる
- ・発音が安定しやすい
- ・よく噛めることで消化を助ける
- ・姿勢や全身バランスが整いやすい
といった良い影響があります。
逆に、顎の成長が不十分なまま大きくなると、歯並びの乱れだけでなく、睡眠の質や集中力、将来の全身の健康にも影響する可能性があります。
何歳頃から注意・相談すべきですか?
Q6. 早く気づくことはできますか?
はい、乳歯が生え始める頃から注意が可能です。
特に、3歳〜6歳頃は、顎やお口の使い方が大きく成長する重要な時期です。この時期に正しい噛み方・飲み込み方・姿勢を身につけることが、将来の歯並びや健康を左右します。
歯科医院ではどんな診断をしますか?
Q7. 歯科医院での検査内容を教えてください
歯科医院では、以下の点を総合的に確認します。
- ・歯や歯ぐきの状態
- ・噛み合わせ
- ・舌・唇・頬の動き
- ・飲み込み方
- ・呼吸の仕方
- ・姿勢や体の使い方
痛みを伴う検査はほとんどなく、お子さんのペースに合わせて進めますので安心です。
治療やトレーニングはどんなことをしますか?
Q8. 小児口腔機能発達不全症の治療内容は?
治療といっても、削ったり手術をしたりすることは基本的にありません。
- ・お口の体操(舌・唇・頬のトレーニング)
- ・正しい噛み方・飲み込み方の練習
- ・食事内容や生活習慣のアドバイス
- ・必要に応じた矯正装置の使用
歯科医院とご家庭、保育園が連携しながら進めていくことが大切です。
小児矯正(マイオブレース・プレオルソ)との関係は?
Q9. マイオブレースやプレオルソとは何ですか?
マイオブレースやプレオルソは、成長期のお子さんの顎の発育や口の使い方を整えるための小児矯正装置です。
※詳しくはコチラ
これらは歯を無理に動かすのではなく、
- ・舌の位置
- ・口呼吸の改善
- ・噛み方の習得
などをサポートし、正しい成長を促すことを目的としています。
Q10. 小児口腔機能発達不全症に効果はありますか?
はい、非常に相性の良い治療です。
小児口腔機能発達不全症は「お口の使い方」が原因となっていることが多いため、マイオブレースやプレオルソを使いながら、トレーニングを行うことで、根本的な改善が期待できます。
家庭や保育園でできるサポートは?
Q11. 日常生活でできることを教えてください
- ・よく噛む必要のある食材を取り入れる
- ・食事中は足が床につく姿勢を意識する
- ・口を閉じて鼻で呼吸する習慣づけ
- ・指しゃぶり・おしゃぶりを見直す
- ・テレビやスマホを見ながらの食事を控える
保育園と歯科医院、ご家庭が同じ方向を向いてサポートすることが、改善への近道です。
早期対応のメリットは?
Q12. 早く対応するとどんな良いことがありますか?
- ・将来の歯並びが整いやすい
- ・矯正治療の負担が軽くなる可能性
- ・発音や食べ方が改善しやすい
- ・姿勢や集中力にも良い影響
- ・将来の全身の健康につながる
国も注目している小児口腔機能発達不全症
Q. 小児口腔機能発達不全症は国の取り組みなのですか?
はい、小児口腔機能発達不全症は、国(厚生労働省)も重要視している取り組みの一つです。
近年、子どもの食べる力や話す力、呼吸の問題が増えていることを受け、歯科医療の分野では「歯が悪くなってから治す」のではなく、成長段階から機能を育てる予防的な考え方が進められています。
その一環として、小児口腔機能発達不全症は保険診療の対象となり、歯科医院での検査・指導・管理が行えるようになりました。これは、国としても
- ・子どもの健やかな成長を支える
- ・将来の医療費負担を抑える
- ・全身の健康につなげる
ことを目的とした取り組みです。
歯科医院・保育園・ご家庭が連携し、早い段階からお口の機能に目を向けることが、これからの子どもたちにとって非常に大切だと考えられています。
まとめ
小児口腔機能発達不全症は、幼少期のお口と顎の発育に関わる大切なサインです。見逃されやすい一方で、早めに気づき、適切なサポートを行うことで、将来の歯並びや健康に大きく良い影響を与えます。
当院では、保育園との連携や、小児矯正(マイオブレース・プレオルソ)を通じて、お子さん一人ひとりの成長を長期的な視点でサポートしています。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
引用・参考文献
- ・日本歯科医師会「小児口腔機能発達不全症について」
- ・日本小児歯科学会 公開情報
- ・厚生労働省 医科歯科連携資料
難波の歯医者
クレモト歯科なんば診療所